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アナウンサー&パーソナリティ

本のリリックノート ―想像力ー

2025.01.28 Tuesday
ご無沙汰していました 本のリリックノート。

今日は本の紹介の前に…
去年の年末に

元ラジオパーソナリティー 飴田彩子さんの朗読会「葉桜と魔笛」(太宰治)に行きました。 




間近で聞く飴田さんの朗読は 息遣いや息の整え方まで声にのっていて
それくらい具体的に登場人物たちの気持ちや状況をイメージされているのだろうなと感じました。

表情や口の開き方も 登場人物ごとに大きく変化し
実際に飴田さん一人の顔に複数の登場人物がうつって見えて、
一本のお芝居を見終わったような感覚になりました。

自分が経験したことがない立場や気持ちに対しても
想像力が理解を助けてくれるのではないかと思います。


今日はこちらの本に出てきた想像力の話を紹介します。


山中伸弥・羽生善治・是枝裕和・山極寿一・永田和宏
『僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう』 (文春新書、2017年)


将棋棋士の羽生善治さんのパートで

(引用)
 「三手の読み」が実は難しい。(中略)
 相手の立場に立って相手の価値観で考えるということは、大人でもかなり難しい。
 (中略)つい、相手のほうから見たときに自分だったらどう指すかというふうに考えてしまう。
 そうすると、当然ながら相手と自分とでは発想の違いがあるので、現実の場面では、予想外の手が入ってくることがあるわけです。


 その二手目の読みを間違ってしまうと、それから先、何百と読もうが何千と読もうが、結果として自分が考えている通りにはならない。
 ですから、とにかく一生懸命想像する、推測する、推察する
 それが、様々な物事に挑戦するとき、何が来ても動じないために大切な要素になるのではないかと思っています。


また映画監督の是枝裕和さんのパートで

(引用)
 演出って、何をおもしろいと思うかということが常に問われているんです。
 どこにカメラを向けて、何を発見して、今起きていることのうちの何が頭の中に最初からあったものではなく、今ここで生まれたものなのか
 それを発見し続けていく動体視力とか、反射神経というものを、
 自分の中ではなく、自分と目の前に広がっている世界のやりとりの中で見つけていくという作業が、
映像制作のいちばんおもしろいところで、いちばん難しいところで、
 いまだにはっきりとは摑めていないところです。

とありました。
自分だけの世界にとどまるのではなく その外側に思考をひらいていく。
自分の外側の世界とやりとりすることをおもしろがることが
想像力を豊かにすることにつながるのかなと感じます。